外資系企業の人材募集ページを端から見ていくと、その会社の色々な事がわかってきます。
初めて外資系への転職を考えている方、すでに人材募集ページをご覧になったとしたら、
『なんの仕事かいまひとつよくわからない』
『自分のスキルで応募できるのかわからない』
『どのぐらいの語学力が必要なのかよくわからない』
のような感想を持ちませんでしたか。
そこで、有名外資系IT企業いくつかの人材募集ページと募集要項を読み解いて、色々と解説してみます。
シリーズでお送りするこの特集第二回、今をときめくGAFAの2番目、Amazon編という事で行ってみましょう!
まずは、Amazon(アマゾン)のグローバル人材募集ページから、東京地区の募集を検索してみました。
ちなみにAmazonは流通の拠点として国内各所にフルフィルメント・センターを運営し、求人もしています。
東京や大阪以外では外資系の求人は少なそうなので、それ以外の地方の方で外資系を志望している方はAmazonはねらい目ですよ。
調査時のアマゾンジャパンの求人数はなんと319人!
Amazon Japan(AWS Japan含む)の東京地区の求人は319名。現在Google Japanの倍ぐらいですね。(2019年10月7日現在)
319件の求人から今回は、”Vendor Manager, Kitchen”という求人を見ていきましょう。
下記、この職種の募集要項の内容です。
ハイライトを付けた項目について、キーポイントを解説します。
(source: https://amazon.jobs)
Vendor Manager, Kitchen
説明
このポジションは、担当商品カテゴリーの品揃えの最適化、売上・利益の最大化を目指します。また、お客様の利便性向上、および満足度の維持・向上にも責任 を負い、効率的なオペレーションを追求します。これらを達成するために、戦略に基づく最適な商品仕入れを行うとともに、WEBを活用した販売計画の策定、 商品の販売促進・宣伝(ブランディング)を企画・実行します。
すべての担当業務を自立的に行い、複雑な状況下においてもシニアマネジメントからの必要最小限の指示を得て、完遂します。1.担当カテゴリーの売上・利益目標の設定と進捗管理 予算作成・実行プロセスの管理に責任をもち、部下他からの情報を踏まえて担当カテゴリーの売上・利益目標を設定し、その実行プロセスを管理します。
2. 販売データ・市場動向の分析と、それに基づく販売戦略の立案、実施、改善、販売データ・市場動向分析を行い、販売戦略を立案し、それを実行するとともに、必要に応じた改善を行います。
3. 最適な仕入れ先の選定・開拓と、仕入れ条件の最適化、仕入れ先の開拓・選定に関して分析を行い、最適な仕入れ計画を立案し、それを実行します。
4. ディストリビューター/メーカーとの強力なパートナーシップの確立 日頃からの円滑かつタイムリーなコミュニケーションを通じて、ディストリビューター/メーカーとの強力なパートナーシップを確立・維持するとともに、より複雑な状況下においても戦略的判断に基づきパートナーシップの維持・強化を行います。
5. WEBを活用したプロモーションプランの企画、立案、販売(対メーカー)関係者との協働を通じて、webを活用したプロモーション計画を立案し、それを実行します。
6. 社内関連部署との連携 シニアマネジメント層を含む社内関連部署(事業部長、在庫管理担当者、ウェブ制作担当者、出品者事業担当者、およびマーケティング部門など)と密接に連携し、効率化と高質化を目指しながら上記の各業務を遂行します。
7. プロジェクトへの参画 全社に影響を及ぼし得る複数のプロジェクトに参画し、プロジェクトをリード、あるいはメンバーとして実績を残します。
基本条件
PCスキル:エクセル中級(ピボットテーブル/グラフ)レベルのスキルがある。ワード/パワーポイント/アクセスは中級以上のスキルがある。
英語力:定常的に書面(email、レポート)でのコミュニケーションが出来る。
また、口頭(会議、電話、TV会議)でのコミュニケーションを行うことができれば、尚可。
財務会計知識:財務分析を行い、その結果を戦略的にビジネスの意思決定に反映することができる。
プロジェクト・マネジメント:外部パートナーならびに全社を巻き込むような複雑なプロジェクト・マネジメントを行うことができる。
論理的思考・分析力:ロジカルに考え、自らの仮説に基づき、市場動向や販売データの的確な分析・検証を迅速に行うことができる。
企画・立案力:常に改善と創造の意識を持ち、効率と高質を目指した企画・立案ができる。また、現状に満足せず、他社などのベストプラクティスをもとに、新たな観点での戦略構築に関わる企画・立案ができる。
問題解決力:市場動向・販売動向を素早く的確にとらえ、社内外の関係者・関連部署と協働し、リスクをとった複雑な問題解決にあたることができる。
実行・行動力:目標達成への強いコミットメントをもち、全社的な視点で状況を的確に判断し、優先順位を明確にしながら機動的に行動できる。
交渉力:取引先との信頼関係を構築し、複雑な状況下においても有用情報を引き出しながら相手の立場・状況・ニーズを理解し、中長期的な視点に立った折衝・交渉を成功裏に行うことができる。
コミュニケーション力:対外的な対外折衝に加えて、社内外のシニアマネジメント層との円滑なコミュニケーションができる。歓迎条件
教育レベル: MBA、Advanced degrees in Operations Management, Mathematics/Engineering経験: ・小売業での経験 ・P/L管理経験 ・Eコマース業務の経験
Vendor Manager, Kitchen
Vendor Manager(ベンダーマネージャー、VM)というのはAmazon独自の役職名で、一般的な職種としては『バイヤー(buyer)』にあたります。
バイヤーは小売業の職種で、売れそうな商品を調査して、メーカーと交渉して買い付けてくる仕事です。
Amazonは巨大なEC(E-Commerce)企業ですから、直接取引している莫大なメーカー数に見合った担当VMが必要になります。
したがって、VMはAmazonの中でも最も社員数が多い職種の一つと言えます。
この求人にはKitchenとありますが、キッチン用品カテゴリー担当のVMと想定できます。
ところで、外資系企業の役職名ってわりと適当につけられている事が多いのですが、Amazonの英語の役職名はきちんとした法則性があり、さらに役職名と職級(job level)が一致するようになっています。
まるで日本の会社のようですね。さらに、Job Levelごとの年俸レンジもリークされています。
Amazonへの転職を検討される方にはすごく役に立ちますので、下記にまとめておきます。
レベル | 一般社員 役職名 | 管理職 役職名 | 年俸 レンジ |
---|---|---|---|
L1-L3 | 契約社員とパートタイム | - | |
L4 | Associate, Consultant SDE (Software Development Engineer) | - | $5-7万 |
L5 | Manager SDE II | Manager | $7-14万 |
L6 | Senior Manager SDE III | Senior Manager | $12-20万 |
L7 | Principal Principal SDE | Senior Manager, Head | $16-30万 |
L8 | Senior Principal Senior Principal SDE | Director (GMレベル) | $30-60万 |
L10 | Distinguished Engineer | Vice President | $60万以上 |
L11 | - | Sr. VP | $100万以上 |
L12 | - | Jeff Bezos | $81,840 |
(Source: Amazon Career Levels and Salary Compensation Guide 2019, What is the salary range for Level 7 at Amazon?)
Individual Contributor(IC)はスタッフを持たない社員、People Managerはスタッフを持つ管理職です。
スタッフレベルでも管理職以上に職級・給与を上げて行ける点にご注目ください。
これが外資系のフェアー&成果主義な評価システムの一環です。
Vendor Managerはレベル5になります。Sr. Vendor Managerならレベル6です。
Amazonのjob levelは階層が浅く、レベル 1 – 12まで、9はなぜか欠番なのでたったの11階層しかありません。
そのためjob levelごとの年俸レンジは非常に幅が広くなっています。
VMのレベル 5だと7-14万ドル、日本円にして約750-1500万円になります*。($1=108円換算)
*勝手に換算したので、日本のアマゾンがこの金額というわけではないです。念のため。
余談ですがレベル12、CEOのJeffの年俸はわずか$81,840/約880万円、VMと同程度の給料ですね。(笑)
(source: CNN)
説明
✅このポジションは、担当商品カテゴリーの品揃えの最適化、売上・利益の最大化を目指します。
✅また、お客様の利便性向上、および満足度の維持・向上にも責任 を負い、効率的なオペレーションを追求します。
✅これらを達成するために、戦略に基づく最適な商品仕入れを行うとともに、WEBを活用した販売計画の策定、 商品の販売促進・宣伝(ブランディング)を企画・実行します。
このカテゴリーの商品に関して、調達と販売の責任者としてビジネスを統括する立場になるようです。
アマゾンはEC企業なので、営業担当はAmazonサイト自体になります。
したがってバイヤーでありながら、サイト上での担当商品の露出や売上高、利益に関しても担当VMが責任を持つことになります。
✅すべての担当業務を自立的に行い、複雑な状況下においてもシニアマネジメントからの必要最小限の指示を得て、完遂します。
『シニアマネジメントからの最小限の指示』、このような記述は外資系求人の多くでみられます。
基本的には一度任せたら最小限のサポートで業務を遂行する事が常に期待されています。
放置プレイが苦手な方は外資系はやめといた方がいいです。
マイクロマネジメントはいやだー、俺(私)のやりたいようにやらせてー、な人向きです。
基本条件
✅PCスキル:エクセル中級(ピボットテーブル/グラフ)レベルのスキルがある。
色々なところで聞きますが、Amazonはデータ至上主義の会社で、多くの社員がビジネスデータの分析を定例業務の一部としています。
売上やキャンペーンのトラッキング、その他のデータを分析、管理、報告するために、エクセルやアクセスの高いスキルが求められます。
別の求人では『SQLが使えるとさらに望ましい』とありましたが、社内ではSQLを使って売上データなどを引いてこれるようで、そこまでのスキルがあるとかなり仕事がやりやすいようです。
✅英語力:定常的に書面(email、レポート)でのコミュニケーションが出来る。
✅また、口頭(会議、電話、TV会議)でのコミュニケーションを行うことができれば、尚可。
この求人では、英語のオーラルコミュニケーションは必須ではないようです。
このカテゴリーの商品は国内企業、日本支社から調達するものが多いからでしょうか。
書面でのコミュニケーションができるレベル、とありますからTOEICでいくと550-600点ぐらいあればOKでしょうか。
会議などで英語での会話ができれば『尚可』とあります。必須ではない事から、あまり参加する頻度は多くないのでしょう。
✅プロジェクト・マネジメント:外部パートナーならびに全社を巻き込むような複雑なプロジェクト・マネジメントを行うことができる。
『全社を巻き込むような複雑なプロジェクト・マネジメント』ーこれも外資の求人でよく出てきますが、会社に対して大きな影響を与える仕事ができる人材が常に期待されています。
それには、強力なリーダーシップとプロジェクトマネジメントスキルなどが重要になってきます。
様々な部署を巻き込んだプロジェクトを実施、成功体験のある方は外資系に向いています。
逆に、自分の責任範囲でこつこつやるタイプの方はあまり居心地は良くないかもしれません。
✅問題解決力:市場動向・販売動向を素早く的確にとらえ、社内外の関係者・関連部署と協働し、リスクをとった複雑な問題解決にあたることができる。
問題解決力(problem solving skills)も、外資系企業の求人で良く求められる能力です。
外資系ではスピード間のある決断と進行が行われますが、結果として突発的な問題が発生する頻度も上昇します。
予期していない問題が発生したとき、正しい判断とレポーティング、必要な措置の実施を迅速に行うことができる、リスク管理と問題処理能力が必要になるのです。
こういった数値化、定量化できない能力をソフトスキル (soft skills) と呼びますが、外資系ではソフトスキルを重要視する傾向があります。
✅コミュニケーション力:対外的な対外折衝に加えて、社内外のシニアマネジメント層との円滑なコミュニケーションができる。
日本の企業では社外の企業と折衝するとき、部長は部長同士、ヒラはヒラ同志のように肩書レベルを合わせようとします。
外資系企業では担当者レベルにそこそこの決裁力を与え、スピード感重視でビジネスを進めるため、相手方にも同等を求める結果、日本企業側ではかなり上のレベルに直接リーチする必要もでてきます。
相手企業のエグゼクティブレベルとも怖気づかないで交渉ができる度胸とスキルが必要です。
余談ですが、この肩書合わせのために外資系企業の名刺の日本語の肩書はたいがい2段階ぐらい英語の肩書からインフレしてます。
ここまでで、必須要件としてキッチン用品などの専門知識、バイヤー・Eコマースの経験などがありませんでした。
この職種に関しては、かなり間口を広げて採用しようとしている案件のように感じられます。
最後の歓迎条件のところに、 ・小売業での経験 ・P/L管理経験 ・Eコマース業務の経験 とありますから、基本条件に加えて、これらのうちどれかの経験があれば、スキル面ではかなり強力な候補者になれるのではないでしょうか。
まとめ
AmazonのVendor ManagerはAmazonの莫大な取扱商品の各カテゴリーの調達、販売などの責任者であり、Amazonで非常に数が多い職種の一つです。
今回のKitchen VMもそうですが、VMは国内メーカー、ベンダーからの調達、販売が主体となるため、英語のハードルは低めな募集が多くなっています。
VMの募集ではバイヤーとしての経験や担当カテゴリの専門知識、Eコマースの経験などを資質として求められることが多いです。
本案件ではそのあたりが必須案件になっていないので、入社後キャッチアップが可能な人を間口を広げて採用しようとしているのでしょうか。
AmazonのVM、募集するカテゴリーに近い仕事をされている方、バイヤー経験者は、初めての外資系転職にはピッタリかもしれませんね。
ご質問、ご意見などありましたら、コメント欄かTwitter(@Gaishiinfo) までお気軽にどうぞ。
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