外資系企業の人材募集ページを端から見ていくと、その会社の色々な事がわかってきます。
初めて外資系への転職を考えている方、すでに人材募集ページをご覧になったとしたら、
『なんの仕事かいまひとつよくわからない』
『自分のスキルで応募できるのかわからない』
のような感想を持ちませんでしたか。
そこで、有名外資系IT企業いくつかの人材募集ページと募集要項を読み解いて、色々と解説してみます。
4回シリーズでお送りするこの特集、GAFAの最初、Google編という事で行ってみましょう!
まずは、Googleのグローバル人材募集ページから、日本向けの募集を検索してみました。
全部で165件。(2019年10月5日現在)
ふーむ、意外と少ないですね。
現在採用数を絞っているのでしょうか。
165件の中から、ビジネス向けの募集要項を1件抽出してみます。
インポート ビジネスデベロップメント マネージャー、Google Play ゲーム という求人を見ていきましょう。
下記、この職種の募集要項の内容です。
ハイライトを付けた項目について、キーポイントを解説します。
(Source: careers.google.com)
インポート ビジネス デベロップメント マネージャー、Google Play ゲーム(日本語、英語)応募資格・条件
必要な条件/経験:
学士号を取得していること(同等の実務経験でも可)
英語および日本語による、文書および口頭での優れたコミュニケーション能力望ましい経験/スキル:
ゲーム業界に携わった経験
モバイルゲームの開発技術、ビジネスモデル、バリュー チェーン、競争環境の分析に携わった経験
プロダクトの管理・導入、法務、財務、マーケティングなど、クロスファンクショナルなチーム環境で業務を行い、他のチームやメンバーに影響を与えた経験
プロダクトに対する優れた感性を活かして、プロダクトによってもたらされる主要なイノベーションやビジネス チャンスをデベロッパーのコミュニティに伝え、それらの利用を促進できる能力
英語による文書および口頭での優れたコミュニケーション能力。ビジネスや技術に関する複雑な概念を社外に向けて発信できる能力
ゲームに対する熱意この求人について
Google のプロダクトやサービスの成長が止まることはありません。パートナーシップ デベロップメント チームは、パートナー様との新たなビジネス チャンスを見つけ出す役割を担っています。本職種の使命は、ビジネス感覚とプロダクトに関する幅広い知識を背景に、パートナー様と最前線でコミュニケーションをとりながら、最新の Google プロダクトを活用してパートナー様の成長を後押しすることです。業界知識や人脈を活かして、YouTube や Google TV、コマースなどのサービスに向けたアプリやコンテンツの開発をサポートしてください。Google Play チームのインポート ビジネス デベロップメント マネージャーは、ゲームへの熱意とビジネス開発の経験を活かして、業界有数のゲーム会社様とのパートナーシップを推進するポジションです。ゲームへの情熱、優れたビジネス判断力、業界に関する幅広い知識を駆使して、世界中のゲーム デベロッパーが Google Play と Android のプラットフォームを活用して成功できるようにサポートしてください。業務においては、ビジネス デベロップメント マネージャーで構成されるエキスパート チームと連携して、Google Play ゲーム ビジネスのビジョン形成や戦略推進を主導していただきます。また、Google Play や Android のプロダクトに求められる多様なニーズを、ロードマップに反映することも求められます。
Google Play では、クラウドを活用して音楽、映画、書籍、アプリ、ゲームを提供しているため、デバイス間やウェブ上での同期が可能です。Google Play の担当チームは、Android&モバイルチームの一部として、バックエンド システムのエンジニアリングからプロダクト戦略の策定、コンテンツ パートナーシップの構築まですべてを行います。Android デバイスで購入した電子書籍や楽曲を、すぐにパソコンで利用できるようにしているのもこの部署です。このチームは、多くのユーザーにアプローチできる高品質なストアをデベロッパーやパートナーの皆様に提供することで、Android エコシステムの強化を図っています。
業務内容
担当地域の市場におけるビジネス チャンスを発掘するために、クロスファンクショナルなチームやグローバル チームと連携して市場分析や戦略の策定を行う
知見やベスト プラクティスを主なパートナー様と共有し、市場参入戦略、ゲームのローカライズ、マーケティング戦略についてコンサルティングを行う
デベロッパー様向けの、一貫性のあるサポートプランを立案し、主導する。そのために、さまざまなチームの取り組みについて調整を行う
ベスト プラクティスを策定し、大規模なカンファレンスやデベロッパー イベントにおいて発表する
インポートビジネス デベロップメント マネージャー、Google Play ゲーム
タイトル名にある『ビジネスデベロップメント マネージャー』は略してBDM、外資系企業では一般的な職種です。
日本の会社でいうと新規事業開発担当にあたります。
『インポート』という名称はおそらく海外のゲーム会社をパートナーとして連携する意味合いでしょう。
BDMは一般的にシニアポジション(職級や待遇は課長・部長級)ですが、まだ立ち上がっていないビジネス開拓がミッションであるため、部下なし単独で動く職務になります。
行動範囲はかなり多岐にわたり、社外の企業のエグゼクティブとの交渉や、社内では関連部署の上層部や、案件の重要性によってはVPレベルまで巻き込んだ仕事が期待されています。
外資系は組織がフラットになっており、単独で動く重要な職種が結構あります。
日本ではスタッフなしは『ヒラ』と斜め上から呼ばれますが、外資系だと”IC – Individual Contributor(個人貢献者)”と呼ばれます。
国内企業からの転職だと、新進のゲームソフト会社でプロジェクトリーダー級の仕事をしていた方でないと難しそうですね。
外資からだと、コンシューマー向け製品・サービスのPM、BDM経験者ならスッと入れそうな仕事です。
そして、タイトルの最後に『Google Play ゲーム』とありますから、Google Play ゲーム*に特化した新しい事業を開発するBDMということになります。
*『Google Play ゲーム』はゲームの事ではなく、Androidのゲームアプリに対し、共通のゲーマーID機能やハイスコアの保存、対戦機能のインタフェースなどを提供するゲーム開発者向けプラットフォームです。
応募資格、条件
✅学士号を取得していること(同等の実務経験でも可)
Googleは以前の募集では多くの場合、学士・修士号取得を必須としていました。
今回164件の日本向け求人全てで、学士・修士の取得に関しては、(同等の実務経験でも可)または(関連職種での実務経験でも可)の付記がされています。
また、学歴に関する条件の記載すらないものが数多くありました。
もともと、外資系企業は日本での募集において学歴をあまり重視していない所が多いのですが、こんなに明確になっているのは初めて見ました。
これは大卒資格のない方にはチャンスですね。
一般的には、4-8年の実務経験は学士号同等、とされていますが、あまり細かいことは気にしなくて大丈夫です。
ただし、面接で突っ込まれた時の解答(例: xxxの仕事をxx年やってたので学士相当の経験は出来ています。ビシっ)は考えておきましょう。
ちなみに、『学士必須』と書かれていているような募集でも、大卒でない方が応募しても割とOKです。
社内のテンプレを使って『学士必須』って書かれてるだけのケースも結構ありますし、本当に欲しいのは期待されてる仕事ができる社員ですから。
外資系って『学歴を尊重』はしますが『学歴重視』はしません。
✅英語および日本語による、文書および口頭での優れたコミュニケーション能力
はっきり書かれていませんが、この募集では英語はビジネスレベル以上が必須でしょう。
TOEIC(トイック、トーイック)で言うと、最低でも800点クラスですね。
加えて、『英語及び日本語』と書かれていますから、
英語と日本語がビジネスレベル以上であればよい=日本人に限定されない
ことになります。
英語がネィティブでなくても良いわけですから、何人でもOKという求人ですね。
でもこの求人、日本語でしか載ってないので、日本語の読解能力は必須ですね。
最近日本語が得意な外国人の採用が各所で増えています。
日本人で英語が得意な人材があまりに少なすぎるのもあります。
✅ゲーム業界に携わった経験
✅モバイルゲームの開発技術、ビジネスモデル、バリュー チェーン、競争環境の分析に携わった経験
✅プロダクトの管理・導入、法務、財務、マーケティングなど、
クロスファンクショナルなチーム環境で業務を行い、他のチームやメンバーに影響を与えた経験
これ、典型的な外資系製品担当(プロダクトマネージャー、PM)の職務ですね。
しかも、ゲーム業界でモバイルゲームの開発プロジェクトに深く関わった経験必須になっています。
外資系の製品担当はここに書かれているような関連部門に対して影響を与え、新しい仕様や戦略を導入しつつ、広報宣伝とともに市場に影響を与えつつ製品を立ち上げる。
日本の企業ではあまりないぐらい、製品担当者一人の責任範囲が広くなっています。
『クロスファンクショナル(部署間横断)』も重要なキーワードです。
様々な部署と調整をする必要がありますが、それぞれの部署の上長同士で根回しとかしてくれません。
この仕事はシニアポジションと書きましたが、かなりの裁量を任された仕事で、直属の上司はほぼノータッチで一匹狼モードで進行することになります。
他部署とのややこしい調整や承認を全部自分でやる必要があります。
専門職(この場合ゲーム開発プロジェクト関与)経験や英語のコミュニケーション能力がない状態で入ってしまうと(そういう人は書類選考と面接で見破られますが)大変なことになります。
全体にかなり多岐に渡った要求ですが、こういう場合完全に全部を満たす必要はないです。
例えば、ゲーム以外のモバイルアプリプロジェクトで同等の要件をみたしている。
加えて、個人で趣味でゲームを作っており、App Storeに公開もしている、みたいな合わせ技でも十分説得できます。
こういう柔軟性があるのが外資系のいいところです。成果が出るなら過程は細かいことは気にしない感じです。
✅ゲームに対する熱意
『ゲームに対する熱意』、いいですねー。仕事で仕方なくゲーム扱ってるやつはいらんと。こういうの好きです。
この求人について
✅Google Play チームのインポート ビジネス デベロップメント マネージャーは、ゲームへの熱意とビジネス開発の経験を活かして、業界有数のゲーム会社様とのパートナーシップを推進するポジションです。
✅業界知識や人脈を活かして、YouTube や Google TV、コマースなどのサービスに向けたアプリやコンテンツの開発をサポートしてください。
✅ゲームへの情熱、優れたビジネス判断力、業界に関する幅広い知識を駆使して、世界中のゲーム デベロッパーが Google Play と Android のプラットフォームを活用して成功できるようにサポートしてください。
ゲーム開発に関わった経験だけでなく、業界に関する知識や人脈まで期待されているようですね。
そして、新しいイニシアチブを立ち上げるに当たっては、Googleの各種サービスとのコラボレーションも期待されているようです。
つまり、YouTubeやGoogle TVなどに関連したGoogle Play ゲーム機能をゲーム会社と一緒に考え導入し、Googleへの追加収益モデルを実現しろというのかな。
個人的には面白そうですが、これは外資系入門者向きの仕事ではないですねえ。
世界中のゲームデベロッパーの下りからすると、海外のデベロッパーとのやり取りも頻繁にありそうですから、かなり優れた英語でのコミュニケーション能力が必須ですね。
率直に言って、この採用かなり時間がかかりそうな案件でしょう。頑張れ>Google人事担当の方
まとめ
自分でも久しぶりに募集要項読みましたが、これ読み取るの色々大変ですね。
外資系の募集要項って大体がわかり難いのには理由があります。
これ手慣れた人事の採用担当の人が書いてるんじゃないんです。
上司になる人が、忙しい中バーっと思いを走らせて打ち込み、レビューもあまりなくそのまま掲載されてしまうんです。
自分でもそうしてたから、大変よく分かります。(笑)
結果として社内用語が多くてわかりにくく、文章は冗長的で同じ話が繰り返し出てくるし、自分の欲しい人材に思いの丈をぶつけすぎて、妙にハードルが高い求人になってしまうこともしばしば。
応募する前に質問できればいいんですが、そういうわけにもいかず。
自分の志望する企業に直接応募したい方は、今回解説したように、募集要項はじっくり読みこんで文脈を理解し、自分のスキルとマッチしているか、仕事は自分が期待しているものかどうか吟味するようにしてください。
もし、それがきびしいな、と思った方はシンプルに転職エージェント経由で応募することをおススメします。
ご質問、ご意見などありましたら、コメント欄かTwitter(@Gaishiinfo) までお気軽にどうぞ。
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