RSUとは、Restricted Stock Unitの略で(譲渡)制限付き株式と呼ばれます。
IT系企業では、Amazon/AWS、Apple、Microsoft、Intel、Googleなどが社員にRSUの付与(grant)を行っています。
このような企業に入社する際には、給与の一部としてRSUを組み込んで合計額を将来の見込み年俸として提案される場合が多いです。
RSUは業績連動ボーナスと位置付けられますが、実体は株式なので、元本保証がありません。入社時に想定していた額を下回ってしまう事もあり得ます。
外資系企業へ転職する際には、RSUの仕組みを理解しておかないと転職の判断に失敗する可能性があります。
RSU、どんな仕組みになっているか、メリット・デメリット含めて詳しく解説します。
RSUは将来の給与の一部を前倒し提示
RSUは簡単にいうとその企業の公開株式が、報酬として付与されるシステムです。将来、その企業の株価が何倍にも上がって大金を手にできる可能性もあれば、入社時に提示された額より年収が下がってしまう事もあります。
最近では、外資系企業だけではなく、メルカリ、楽天、ヤフージャパンのように日本企業でもRSUを社員に付与する企業がでてきています。
ただし、RSUで付与される株式は、すぐに現金化する事はできません。
RSUは、『制限付き(restricted)』の名の通り、売却可能時期に制限が付けられています。
RSUの支払いモデルをざっくり図解すると↓のようになります。
RSUは入社時に年俸の一部として付与(grant)される事が多いです。
上記のモデルでは基本給400万円にRSU100万円相当を足して、約500万円の年収になっています。
しかし、入社時に付与されたRSUが権利確定(vestといいます)して売却できるのは入社後3-4年目以降になります。
RSUは、ある程度の年数会社に勤務した社員へのご褒美と、引き続き会社に貢献してほしい意味合いがあるためです。
入社後2年半、3年目分のRSUがあと半年で権利確定する状況なら、もうすこし頑張ろうという気持ちになりますよね。
RSUが現金化できない入社1-2年目には、期間限定で同額程度のサイニングボーナス(サインインボーナス)が現金で支払われる事が多いです。
RSUは権利確定すると、制限のない普通の株式になります。
その時点で即売却して現金収入を得るもよし、将来の上昇を見込んで株式を維持する事もできます。
RSU=株は変動制である点に要注意
株価が伸び盛りの企業で働く場合、付与されたRSUが大化けして凄い金額になる事は良くあります。
例えば、2017年4月に、3年後から毎年20株のRSU(時価180万円分)が売却可能になる、というオファーレターを受けてAmazonに入社したとします。
3年後の2020年4月、Amazonの株価は2.35倍も上昇しています。
結果、RSUで権利確定した株を売却すると、その年のRSUだけで約420万円もの収入になってしまいました。
3年間頑張った甲斐がありましたし、来年以降ももっと株式が上昇するよう、自分ももっと頑張ろうという気持ちになりますね。
でも、RSUは株式ですから、逆に大きく下落するケースもあります。
RSUを売却できる時点になったら、自社株が半分まで目減りしていたら、入社時の想定よりも収入が激減してしまいます。
その時点で会社の将来性も見えないと、逆に辞めたい気持ちが加速しますよね。
RSUを提供している外資系企業に転職する際には、オファーレターの給与の説明の部分でRSUの株数、付与時の時価に関しても記載されます。
他に内定が出た他社と比較する際には、額面の金額だけでなく、その企業の株価の推移、将来性を勘案して検討する必要があります。
あと、RSUは権利未確定部分は退職したら無効になってしまいます。
退職を考える際には、将来の利益を考えつつ悩みましょう 😛
RSU権利確定時と売却時に確定申告・納税が必要
RSUのやっかいなポイントは、権利確定(vest)した年度と、売却した年度の確定申告と納税が必要になる点です。
RSUは付与された時点では価値はありませんので、保有していても税金は一切かかりません。
これが、RSUの権利確定する年には、売却をしなくても株式時価が給与所得として課税対象になります。
多くの外資系企業では、RSUの権利確定分の申告を個人で行う必要があります。
その場合、翌年の3月までに自分で確定申告と納税(給与所得と合算して累進課税)をする必要があります。
権利確定したRSUは、売却しなければ普通の株式になります。
将来売却した際には、キャピタルゲイン(RSUの権利確定時の株価-売却時の株価)に対して20%の分離課税になります。
外資系企業の多くは、本国の証券会社にRSUの取りまとめをさせています。
その場合日本への源泉徴収課税を自動でやってくれませんので、売却の翌年に確定申告と納税が必要になります。
RSU権利確定の年と売却する年には、翌年いくら税金を納めるか計算しておかないと思わぬ事になりますから、注意が必要です。
RSUとストックオプションの違い
RSUよりもストックオプションの方が、一般的になじみがあるのではないでしょうか。
ストックオプションもRSU同様、報酬として株式を付与するシステムです。
RSUが権利確定時に現物株が取得できる事に対し、ストックオプションは付与時の株価と、権利確定時の株価の差額を取得できる仕組みになっています。
ストックオプションの株式付与数はRSUに比べてかなり多く、ドットコムバブルのピーク時には、ストックオプションで儲かったので億ションを即金で買ったとか、フェラーリ買ったとかよく耳にしました。
ストックオプションは権利確定時の株価が付与時を下回ると紙キレになってしまうのが大きなデメリットです。
例えば、$40で付与されたストックオプション、権利行使年に$35に下がれば価値ゼロです。
RSUは現物株式なので、会社が傾かない限りは、そこまで極端に下がる事はありません。
元々はストックオプションを社員に付与する方が多くの外資系企業では一般的でした。
ですが、法人税上のデメリットから、大手上場企業ではストックオプションに代えてRSUを付与するケースが多くなってきています。
一方、非上場のスタートアップ(ベンチャー)企業ではRSUの現物株は無意味(権利を獲得しても売却できないため)、引き続きストックオプションが付与されています。
まとめ
- RSUは株式による報酬システム
・将来の給与の一部を前倒し提示
・IT系外資では、アマゾン/AWS、アップル、マイクロソフト、インテル、グーグル、フェースブックなどが提供 - RSU=株は変動制である点に要注意
・株価が上がれば想定より多い収入が得られる
・株式なので、逆に下落すれば想定より収入が下がる - RSU権利確定時、売却時に確定申告・納税が必要
・権利確定(vest)した年度と、売却した年度の確定申告と納税が必要
・RSU権利確定の年と売却する年には、納税額を準備する必要あり - RSUは現物株、ストックオプションは株式上昇分の権利を獲得
・上場大手企業ではRSUが一般的
・確定時に下落していればストックオプションは紙切れ
・未上場のスタートアップ企業ではストックオプションが一般的
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