検索すると外資系のメリットとデメリットに関する記事がたくさん出てきます。
『確かにその通り』と同意できるもあれば、『それはないな』というモノもあります。
興味がわいたので、代表的なものをリストアップして検証してみます。
私はIT系外資の出身なので、その視点でバイアスがかかることをご了承ください
※ところで、英語では長所短所的な意味でメリット/デメリットを使いません。
長所短所には、pros / cons、advantages / disadvantages を使います。
Pros (メリット)
日本の会社より給料が高い
はい、申し訳ないぐらい高いです。
同窓会とかで給料聞かれても答えられないです。
一般的には同一職種で平均20%-30%高いと言われていますが、感覚的には基本給で1.5倍ぐらいは高いと感じます。
実力次第では(ここポイント)20代で1000万超えも、もう珍しくなくなってきました。
高い給料になる理由の一番は英語力+専門性に対する対価です。
英語力+求められる専門性を持った日本人が少なすぎるので、その分給料を積まないと、欲しい人材が取れないということ。
ストックオプションやRSU(制限付き株式)がある場合、会社の株価が上がれば、年収の数倍もの収入になる事もあります。
営業職の場合、インセンティブ中心の給料体系(歩合制)のところもあります。
その場合、設定した営業目標を超える結果が出るとものすごい額の給料を受け取ることになります。
逆もありますのでバリバリ営業活動に邁進するしかないわけですが。
あと、新卒で入った叩き上げの方からすると、途中入社の方の方が給与が高くて不公平、という声をたまにききます。
成果主義・実力主義である
はい、おおむねそうです。
年齢性別国籍、一切考慮されません。
いくら毎日遅くまで働いて頑張っても、結果が伴わなければ評価はされません。
大きな成果を上げれば、給与査定の際には数百万円の年俸アップも珍しくありません。
給与の査定は公平に行われます。スタッフを持つマネージャーは、自分のスタッフの年次の成果と自分の採点を持ち寄り、スタッフ全員の順位を議論し、全員が納得の行くところで結論を出します。
上位数%の社員には大幅な年俸アップがあるでしょう。
下位数%の社員には降格、成果改善計画、退職勧奨プログラムが待ち構えています。
この成果主義、実力主義の評価の問題は、上司の匙加減や自分のアピール力に左右されるという点です。
自分の上司が自分のスタッフの昇給にあまり力を入れていなければ、いくら成果をだしても大した査定になりません。
また、自分の成果を上司だけでなく、査定に関係する他のマネージャーなどにアピールできていないと、大きな昇給、昇進は実現しないことがあります。
逆に、声の大きいマネージャーやスタッフが横から成果をさらっていってしまう事があります。
あと、性別の差別ないといいましたがちょっと嘘です。
外資系企業、特にアメリカ企業だと『diversity』という掛け声の元、社員の女性比率向上、管理職やマネジメント登用などが推奨・推進されています。
女性でキャリア向上を目指したい方にはもってこいの環境です。
ワークライフバランスが取りやすい
はい、仕事のやり方に柔軟性があり、家庭のための時間を作りやすいです。
会社や部署によりますが、日本の会社と比べると外資系は残業は少ないです。
日本の会社は社員が残業をすることに依存し過ぎているし、社員は残業代に依存しすぎです。
外資系企業では多くの会社で裁量労働制になっており、残業代は出ない職種が多いです。
裁量労働制では、残業をするしないは自己判断になります。
追い込みで仕事が終わらなければ徹夜もするし、何もなければ5時前に帰ってしまう人もいます。
休みに関しても有給休暇 (paid leave) は社員の権利、上司が休む理由を問いただす事もありません。
きちんと準備すれば、夏休み期間に2週間ぐらい休んでも問題なし。
ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始などは多くの人が有給を合わせて長めの休みを取っています。
ただし、与えられる仕事は簡単ではありません。
きちんと計画をたてて実行し、成果を上げるサイクルが作れないと、毎日残業で休みも中々取れない人もいます。
社外勤務 (work from home, telecommuting) も許可されている会社も多いです。
単に気分を変えてカフェやコワーキングスペースで働いても良し、子供が熱っぽいので面倒をみながら家で仕事してもよし。
ところで、面接で『御社はワークライフバランスは如何ですか?』
って聞いてくる人いますが、やめた方がいいですよ。
(口だけは達者で仕事する気ないやつだな)
と判断されて落とされます。
気になるのであれば口コミサイトで調べるか、最終面接で人事の担当に聞きましょう。
キャリアアップ*にチャレンジしやすい
*キャリアアップも和製英語ですね。英語だと”advancing career”または”job change”かな。
はい、外資系企業では部署間の異動は基本的に推進されています。
上司は異動を妨げることはできません。
社内の空きポジションは基本的にイントラネットで社内公開され、条件に合えばだれでも応募できるようになっています。
職級が近ければ、管理職のポジションに応募することもできますし、逆も可能です。
社内募集は日本だけではなく、各国のものが見られますので、ビザ・グリーンカードや引っ越しのサポートがある案件であれば、外国勤務に応募することも可能です。
一方、日本の企業のような、本人が希望しない突然の人事異動はありません。
空きポジションが公開される副作用としては『この募集ポジション、Aさんのだ。Aさん辞めるのかなどこかに異動かな』みたいな憶測を生むことですかね。
定年がない
あまり知られてませんが、外資系企業では定年がない会社が多いです。
アメリカを初め海外企業では定年がないところが多いのですが、日本支社に関してはこれまで日本の企業に合わせて定年を設定していたようです。
最近は本社と同様に定年なしで合わせてくる外資系企業が増えてきています。
ちょっと歴史のある会社だと、本社ですごい爺さんが第一線でバリバリ働いててびっくりします。
Cons (デメリット)
給料が上がらない、収入が不安定
これ、デメリットじゃないです。大概が自分のせい。
年次の査定で、上位下位数%の社員に際立った評価があることはお話ししました。
それ以外の平均的な成果を出した社員はどうなるかというと、ごく僅かな昇給か、昇給なしとなります。
ようするに、会社の期待値程度成果を出したので給料キープの理屈です。
給料上げて欲しければ、期待以上の目覚ましい成果を出せと。
成果主義のところで話しましたが、上司のせいで給与が上がらないこともあります。
- 自分のスタッフの優劣をつけるのが嫌で、全員に平均点をつける上司
- 他のマネージャーとのディベートに勝てず昇給の承認を得られない上司
- あなたとの折り合いが悪く昇給させてくれない上司
いい仕事ができそうな年は、早いうちに上司と話を共有して、結果が出せたら確実に昇給を勝ち取らせてください。
上司の並列のマネージャーや、上役へのアピールとかも重要です。
上司が聞く耳持たない場合は、人事に相談するか社内転職しましょう。
収入が不安定、という記事もありましたが、読んでみたらインセンティブ制の職種の話でした。
先に書きましたが、外資系でインセンティブ制の給料だと上下動がすごく激しいです。
バリバリの敏腕営業マンにはたまらない環境でしょうが、そうでない方は固定給の仕事を探した方がいいです。
固定給であれば、毎月給与額が不安定ということはありません。
クビになったり、日本から撤退しそうで不安
これはそこそこ不安材料としてありますね。
でも一部の職種を除いて、突然クビを言い渡される事は稀です。
成績不良等で退職を勧奨される場合には、数カ月の猶予期間が置かれる事が多いです。
その間に求職活動を認めてくれる場合もあります。
よほど大手の外資系でないと、確かに日本撤退されて、職を失ってしまうリスクはあります。
でも最近の世の中、日本の企業も終身雇用が事実上崩壊しつつあるように見えます。
クビとか撤退・倒産とかのリスク、外資系企業だけではなくなってきたのではないでしょうか。
外資系は終身雇用ではない
こんなこと書いてある記事が良くありますけど、バカじゃないかしら。
日本の企業は終身雇用ってよく言いますけど、終身雇用って概念であって、規定でも雇用法でもないです。
中小、零細企業なら初めからだれも終身雇用を期待していないですよね。
大体にして、日本の大企業であっても、終身雇用を保証していないし、最近はどこの会社もリストラするようになってしまいました。
雇用法的には、外資も日系も何ら区別なく守られているわけですから、外資が不利ということはありません。
黙っていると何もおきない
確かにその傾向は強いですが、デメリットではないです。
日本と西洋のカルチャーの違いから来るものですかね。
基本的に黙っていると満足しているという判断をされてしまいがちです。
- 会議中に黙っているので内容に反論はない
→文句があるならその場で言え - 査定結果をもらってもコメントがないので現状維持でいいんだろう
→給料上げてほしければ言え - 夜中まで働いてるけど特に報告がないので残業好きなんだろう
→人手が足りないなら言え - などなど
外資系の職場は、誰も空気を読んでくれない前提で、必要なところで大きな声を上げていく必要がある環境です。
アピールするのが大の苦手という人は外資系はやめておいた方がいいかもです。
福利厚生が良くない
ダウト。
外資系は福利厚生がない、とまで書いている記事もありました。本当にデタラメ。
社会保険、健康保険、厚生年金に雇用保険は法定雇用保険で、全ての企業が入るのが義務です。
通勤費も払ってくれない外資系企業はないでしょう。
それ以外に何が福利厚生なんでしょうか実際。
住宅手当、家族手当とか、給料小間切れに貰ってるだけじゃないすか。
手当と名の付くものは全部報酬扱いでご自分で所得税を払っているんですよ。
それに、いくら手当てもらっても外資系の給料に勝てないですよ。
まとめ
Pros(メリット)
- 日本の会社より給料が高い
→英語や特殊技能に対する対価で高めになっています。インセンティブ制の場合は上下振れが凄いです。 - 成果主義・実力主義
→実力次第では多額の昇給や昇進があります。逆に結果が出せない人には退職勧奨も。 - ワークライフバランスが取りやすい
→仕事がこなせれば残業は少なく、長期の休みも取りやすいです。自宅勤務ができる会社も多いです。 - キャリアアップにチャレンジしやすい
→社内転職は推奨されており、誰でも申し込めるし、上司もサポートします - 定年がない
→定年がない外資系企業では、居心地がよければ何歳までも働けます
Cons(デメリット)
- 給料が上がらない、不安定
→普通の成果では昇給は僅かです。上司と同期して大幅昇給作戦を - クビになったり、日本から撤退しそうで不安
→日本企業も最近はおなじく不安ですよね - 外資系は終身雇用ではない
→日系企業も別に終身雇用を保証しているわけではないですよ - 黙っていると何もおきない
→西洋カルチャーでは黙ってると満足してると判断されます - 福利厚生が良くない
→給料高いから細切れの手当いらないです
ご質問などありましたら、コメント欄かTwitter(@Gaishiinfo) までお気軽にどうぞ。
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